米澤穂信「満願」は極上のミステリー短篇集【評価&レビュー】 

久しぶりにとても満足できる小説を読むことができた。

それが米澤穂信さんの

「満願」

読んでいない人は

是非手に取ってほしい。

米澤穂信さんの小説は元々好きで、2008年にも

「儚い羊たちの祝宴」

という短篇を出しており

これにめちゃめちゃハマったのを覚えている。

友人などに「何かオススメの小説ある~?」なんて聞かれるとまずこれをオススメするってくらい、ハマっていました。

しかーし。

こんなことを言っておいて普段短篇小説は読みません。

何故なら内容が薄いし、何度も登場人物を覚えなければいけないので面白さに欠けるんですよね。

でも儚い羊たちの祝宴を読んでその価値観がガラっと変わり

今回の「満願」を読んで、米澤穂信さんの短篇がいかに優れているか分かりました。

この記事では

  • 満願ってどんな話?
  • 満願の内容とみどころ
  • ネタバレ感想

この辺について書きたいと思います。

まだ読んだことがない人→満願ってどんな話?

気になっている人→満願の内容とみどころ

読了したが感想を共有したい!→ネタバレ感想

こんな感じで観たいところを好きに見て下さい。

小説を読むきっかけになれば嬉しいです。

満願ってどんな話?

満願は全六篇からなる短篇集になります。

冒頭でも書いた通り、2008年に刊行された「儚い羊たちの祝宴」でも短篇集を出していますが今回の満願と大きく異なる点は純粋な短篇集であるということ。

儚い羊たちの祝宴は、短篇でありながら全ての話に関連性を持たせています

連作短篇小説ってやつですね。一つの物語としても読める作品です。

それに対して今回の「満願」は本当に純粋な短篇集になっています。

なんとなく、読了後の感覚は共通するものがあるものの、全て独立した話が展開されます。

「満願」は読者からも、同業者からも高く評価され、2014年末には

  • このミステリーがすごい!
  • 週刊文春ミステリーベスト10
  • ミステリが読みたい!

この3つので全て首位を取る、史上初の三冠を達成しています

短篇小説は短い文の中で起承転結とオチを作るので

非常難しくて世間に評価されずらいんですよね。

3冠を短篇小説で取っているのは本当に偉業です。

米澤穂信さんは革命を起こしたんですよ!

ってことで

さて、ではどんな内容なのでしょうか。

次で紹介します。

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「満願」の内容とみどころ

見どころと共に簡単に6つのストーリーを紹介します。

ネタバレしないように本当に軽く紹介します。

1.夜警

ベテラン警察官の視点から話される、ある事件の話。

冒頭は部下が亡くなった話から始まり

遺族と会話を重ねるうちに

事実が浮かんでくる。

夜警の見どころ

終盤にかけて浮かび上がってくる事実。

何故部下は死んだのか。

読了後のなんとも言えない感覚こそが夜警の見どころ。

2.死人宿

2年前に連絡が途絶えた恋人が

山奥の温泉宿で仲居をやっていると聞き、訪れる。

そこは「死人宿」と言われる自殺者の絶えない場所だった。

死人宿の見どころ!

人公の心理描写が一番のみどころ。

恋人からの期待と心境の変化を「自殺」というものを通して描いている。

3.柘榴(ざくろ)

ある4人の家族の話。

短篇でありながら

母親の小さい頃からはじまり、成長して結婚して子供が2人できて・・・とテンポ良く進んでいく。

2つの視点から話が展開されるのが特徴。

この話は何も説明しない。

その方が絶対に楽しめる。

柘榴(ざくろ)のみどころ

登場人物が4人しか出ない。

2つの視点(母親と娘)から書かれる家族の話。

今回の「満願」で正直一番印象に残った。

この後味こそが、米澤穂信さんの独特の読了感であり、最高だと思う。

4.万灯

今回の短篇の中では一番長い話。

主人公の裁判シーンから始まる。

海外勤務の主人公視点で書かれる、天然ガスをめぐるストーリー。

舞台はインドネシアとバングラディシュ。

何故主人公は裁判に掛けられているのか。

万灯のみどころ

よくこんな話思いつくなぁって思うような内容。

普段ミステリーしか読まない自分は馴染みがない分

難しい内容かな?と思いながら読みましたが

なんのことはない。

ラストの伏線回収の秀逸さと後味の悪さに震えます。

5.関守

都市伝説の雑誌を書くことになった記者が

先輩から聞いた「事故の多い田舎道」にいくお話。

山道にあるドライブインで店員から話を聞くのがメイン。

関守のみどころ

ここにきて、都市伝説を探るお話っていう

よくありそうな鉄板な内容。

相変わらず終盤にかけての追い込みでテンションが上がってくる。

わかっていても、面白い。

6.満願

小説のタイトルであり、ラストのお話。

弁護士になった主人公が昔に担当した事件の話。

昔お世話になった女の事件だが急に控訴を取り下げる。

何故なのか。

満願の見どころ

ラストにこの話を持ってくるところが最高である。

短いのにどっしりと圧し掛かる内容と

感慨深い終わり方。

どこか寂しく切ない。

衝撃度は低いが一番じわじわくる気がする。

ちょこっとネタバレ感想

少しだけネタバレ感想になります。

クリックして表示なので

まだ読んでいない人は飛ばしてください。

どれも素晴らしい作品だが、

儚い羊たちの祝宴を読んだ時のような

衝撃を受けたのは「柘榴」。

途中自分たちの身体に傷をつけて

母親から虐待されているという事実を作るシーンあたりから

「!?」

となり、ラストで

「うわぁああ・・・」

とざらっざらしたえげつない感覚。

官能的で、えげつない、今作一番の短篇だと思います。

あと「万灯」は普段感じたことのない、新しい怖さを持つ終わり方ですね。

しっかりと途中途中で「コレラ」っぽい、やばい病気を持ち込んだくだりがあるし

話の過程が、意外にのめり込んでしまう内容で普通に面白い。

これ長編小説でもずっと楽しく読める話だなって思いました。

まとめと評価

個人的に6つの話を面白かった順にならべると

  1. 柘榴
  2. 万灯
  3. 満願
  4. 夜警
  5. 死人宿
  6. 関守

こんな感じですね。

関守も普通にめっちゃ面白いんですよ?

でもそれを上回る面白さを持った話ばかりでした。

別々の話でありながら全部楽しめる。

なんてお得な小説なのだっ!!

米澤穂信さんの小説、これからもずっと前線で走り続けるんだろうなぁ。

ずっと応援したい。

あと、NHKで満願の短篇の中で

万灯、夜警、満願

この3作品がドラマ化されているんですよね。

U-NEXTで観れるので、こちらも是非見てほしいです。


満願の評価
オススメ度
(5.0)

満願を読んだ結論:最高の短篇小説でした。

ではまたノシ

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