島田荘司さんミステリー小説
「透明人間の納屋」の記事になります。
どどんっ!!
結論から言うと・・・
心に染みるような切ないミステリー。
物語自体は非常に良い話で
ラスト、一気に種明かしをするタイプ。
オチは好き嫌い分かれそうですが、自分はありかなって。
この記事では
- 島田荘司作品について
- 透明人間の納屋のあらすじ
- 内容とみどころ
- ネタバレ感想
- まとめと評価
こんな形で書いています。
ネタバレはクリックで表示にしていますので
しりたくない人はクリックしないでくださいね!
島田荘司作品について
島田荘司作品は本当に面白い作品が多く、「御手洗潔シリーズ」がとても有名です。
デビュー作の「占星術殺人事件」は推理小説が好きな人は必ず読んでいるんじゃないですかね?
金田一少年の事件簿で流用されるなどパクられた疑惑が出たり色々あるくらい、斬新で類を見ないトリック。
本作「透明人間の納屋」は特にシリーズものではなく、単体で読める作品です。
御手洗シリーズが抜群にオススメですが、単体で読める作品もかなり面白いのでオススメです。
透明人間の納屋のあらすじ
昭和52年、完全な密室であるホテルの一室から女性が突然姿を消し、何日後近くの海岸で発見された。
友達のいない少年ヨウイチはいつも隣人の真鍋さんと一緒にいた。
ある時、納屋に謎の機械があるのを発見し真鍋さんに聞くと「透明人間になる薬」と教えてくれる。
透明にならなければ不可能と思われる事件に真鍋さんは関わっているのか。
事件から26年後に明らかになる当時の出来事の全て。それは驚愕の事実だった。
内容とみどころ
まず小説の全体的な雰囲気がとても良い。
そして小説の文章スタイルがとても良い。
基本的には主人公「ヨウイチ」の視点から語られます。
ここがポイントで、後半までずっと少年時代が続くんですが、
語り手があくまでヨウイチなので、小学生の言葉と書き方で小説が書かれているんですよね。
実際に後半の大人になってからは、かなり漢字も多くなり、表現も大人が使うような表現に代わっていっているんですよ。
この表現のやり方が、「アルジャーノンに花束を」と似ているなぁって感じます。
アルジャーノンの場合は、知能が下がっていくにつれて実際に小説での文章のスタイルが幼稚になっていきます。
透明人間の納屋はこの逆バージョンです。大人になるにつれて文章自体が大人になっていく。
このスタイルをかなり上手く使っているんですよね。これによって、その時々の感情などが読者により伝わる気がします。
あとは途中まではミステリー要素があるものの、少年視点から描かれる、夢のような日々。
郷愁的な気持ちになるような、少年の全てが詰まった日々の話。
この少年が体験した日記のような話がとても居心地が良くて素敵なんですよね。
ネタバレ感想
ここから感想ですがどうしても内容に触れるので
ネタバレ大丈夫な人のみクリックしてみてください。
真由美が死んでからの密室ミステリーは種明かしがとても気になりました。
絶対的な密室殺人なので、ハードルが上がっていた気がします。
そして透明人間の薬。
事件が、透明人間の薬でしか解決できないような密室事件だったので、途中から本当に透明人間の薬を使ったのか・・?
これ実は急にSFファンタジーになるのか?って思うくらいでした。
オチについて
かなり伏線だけ貼った状態でラストギリギリまで持っていき、種明かし。
ハードル高い上に、実はとてもシリアスな種明かしだったので、オチが弱いって思う人結構いそうだなぁって思いました。
さすがに、誰も北朝鮮の工作員だったってオチはわからないと思う。
逆にやられた感ってのはありますけどね。
結構胸を締め付けられるような、悲しい種明かしで自分は素晴らしいって思いました。
ただ真由美が工作員だからこそ実現して、そしてだれもその予測ができないからこそ不可能とも思わせられたトリックですよね。
そして工作員と思わせるような描写をしてしまったら、この小説は全ての種明かしをしてしまうようなもの。
できる限り工作員と思わせるような描写を控えなければなりません。
でもそこの描写を控えてしまうと、読者に対してフェアではなくなってしまう。
ここって結構ジレンマに陥るポイントだなって思います。
全てを工作員ありきのトリックにしているのが、この小説の良いところでもあり、難しいポイントでもあるなって思います。
ただ、物語自体が本当に素晴らしくて、メッセージ性が強く飽きずにみられるとても良い作品だと感じました。
まとめと評価
結論、賛否は分かれると思いますが
ストーリーの面白さ
感慨深い物語ラストの展開
これを考えると是非読んで欲しい小説だなって思います。
ではまたノシ
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