まずはじめに・・・
久々に素晴らしい映画に出会いました。
それが「スリービルボード」
心に響く映画ってありますよね?
観終わったとのなんとも言えない気持ち・・・
この気持ちこそ映画から伝わってくる「なにか」であり、心に響くものなんですよね。
自分は悲しくて、つらくて、胸が苦しくなりました。久々にぐっさり刺さった感じ。
この記事では「スリービルボード」について、
- スリービルボードとは
- あらすじ
- キャスト
- 全体的な流れ(ネタバレあり)
- 考察・感想(ネタバレあり)
あたりを書いていきます。
普段はキャストについてはそんなに触れていないのですが、今回は間違いなくキャストの素晴らしさが光っているので記載します。
映画好きなら絶対に外せない映画だと感じたので、是非見て頂きたいです。
ネタバレがある部分については”ネタバレあり”と記載するので安心してみて下さい。
目次
スリービルボードとは?
娘を殺された母親を主人公として、様々な人間を巻き込みながら事件解決に向かっていく。
ヘビーな内容とシリアスな展開、メッセージ性の強さが素晴らしく評論家・一般評価ともに非常に高い。
アカデミー賞で4冠達成しているのが何よりの証拠。ヴェネツィア国際映画祭では監督であるマクドナーは脚本賞を受賞。
映画雑誌の年間ベスト1位にも選ばれている。
スリービルボードのあらすじ
ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。
引用元:シネマトゥデイより
あらすじ読んだだけでも楽しそうじゃないですか?
自分はあらすじ読んで楽しそうなので映画を視聴しました。
スリービルボード出演キャスト
写真左がサム・ロックウェル(ディクソン巡査)
写真の真ん中がフランシス・マクドーマンド(ミルドレッド・ヘイズ)
写真の右がウディ・ハレルソン(ウィロビー署長)
個人的に好きな人が多かったので紹介します。
フランシス・マクドーマンド
主人公ミルドレッド・ヘイズ役。レイプ殺人で娘を亡くしている。
怠慢な警察に対して3つの掲示板に広告を載せた張本人。
自分は映画のジャケットにフランシスとウディ・ハレルソンが載っていたから観たくらい、魅力的な女優。
スリービルボードでは主演女優賞を受賞。映画「ファーゴ」でも主演を務めており、この時にも主演女優賞を取っている。
迫真の演技は映画の世界に没頭するのを手伝ってくれる。本当に素晴らしい。ファーゴも最高だった。
ウディ・ハレルソン
ビル・ウィロビー署長役。
レイプ事件が進展しない為、ミルドレッドに名指しで広告に載せられてしまう。
人柄が良く市民からも慕われている。部下からの信頼も厚く、とても誠実な人間。
物語のキーマンになっている。
ウディ・ハレルソンはナチュラルボーンキラーズや、最近ではスターウォーズ:ハンソロなどにも出演。
意外と覚えていないだけで結構出演作は多いです。みんな大好きノーカントリーにも出ています。
ちなみにウディさんは実の父が元殺し屋というとても珍しい境遇の持ち主。
サム・ロックウェル
ジェイソン・ディクソン巡査役。
レイシストで暴力的な役でなかなかやばい役をしている。
今回の映画の中で一番変革のある人物だと思う。とても良い役してる。
これに関しては実際に映画を観て感じて欲しい。非常に重要な存在。
この映画でアカデミー賞”助演男優賞”を受賞している。
サムロックウェルは結構色んな映画に出ていて、「月に囚われた男」が個人的には好きです。
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全体的なあらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレになります。
観ていない人は、是非映画を観てからここを読んで下さい。
この映画はとにかく救いようのない悲壮感と絶望感の溢れる映画です。
なのに何故素晴らしいのか?
それは最後のオチが全てを物語っていると思います。
まずは全体的な流れをみてみましょう。
- ミルドレッドの娘がレイプされ死亡する事実
- ミルドレッドは広告屋のレッドを訪れ契約
- ミルドレッドは3つの看板に広告を掲載
- ディクソン巡査激おこぷんぷん
- ウィルビー署長、ミルドレッドの元を訪れガンを報告するも広告は継続
- ミルドレッド広告の件で住民から孤立していく
- ウィルビー吐血するも捜査頑張り始める
- ウィルビー家族と過ごし自殺
- ディクソン巡査、激怒のあまり広告屋レッドをボコボコにして病院送りに
- ディクソン警察クビになる
- 3つの広告燃やされる
- ディクソンはウィルビーから手紙受け取るが大やけど
- ディクソン病院でオレンジジュースを飲む
- ディクソン酒場で怪しい男発見、証拠入手
- 結果、犯人ではないがミルドレッドと共に車で向かう
- 「決心がついているか?」→「あんまり」でFIN
ざっとこんな感じです。
全体的流れと共に考察を交えていきます。
ネタバレ考察と感想
映画が伝えたいこと
まず最初にこの映画の一番重要な部分について個人的な見解を書きます。
ミルドレッドの事件をきっかけに町全体に怒りが充満します。
怒りが怒りを生み、闇へ闇へと進んでしまう。
この負の連鎖こそ、この映画のみどころであり面白い点です。
しかしこの怒りの連鎖は悪いことだけではなくて、人を良い方向に導くことにもなっていきます。
ディクソン巡査の生き方こそわかりやすい良い方向への転換であり、映画の伝えたいことでもあるんじゃないかって思います。
ディクソンは序盤特にクソですよね。それこそ怒りの象徴なんですよ。レイシストだし、怒りをすぐに表面にだして病院送りにするほど。しかし中盤でウィルビー署長の手紙、レッドの病院でのくだりで怒りが止まります。怒りの連鎖から抜け出し、さらには連鎖を止める役割を持ちます。最終的には主人公ミルドレッドの怒りを止める役割を担っていると思うんですよね。キーパーソンです。
それを物語る重要なシーンが
- 火炎瓶投下、資料を守るシーン
- 病室でのオレンジジュースのシーン
- ラストの車での掛け合いシーン
この3つであり、とても心に刺さるメッセージ性の強いシーンですね。
では全体から見ていきます。
序盤
ミルドレッドが広告店を訪れるところから始まります。
娘がレイプされ殺されたあげく焼死体で発見された事実。
そして犯人が捕まらないことにミルドレッドは警察に対して憤りを感じています。
レッドが経営している広告店で3つの掲示板(スリービルボード)に広告を出すことを決める。
1年間掲載することを決め、まずは1か月分の5000ドルを手渡します。
3つの掲示板には
- 娘はレイプされて焼き殺された
- 未だに犯人が捕まらない
- どうして?ウィルビー署長?
と名指しで警察を中傷。これには町の人も「やりすぎ・・」と思っていた。
というのもウィルビーは誠実で人柄が良く町の人からも慕われている。そして何よりもウィルビーは”すい臓ガン”を患っており、余命いくばくの状態だった為である。この行為に警察も激怒していた。
特にウィルビーを慕っているディクソン巡査は激怒し、素行の悪さから広告店を脅しますがレッドは屈せず、広告を継続します。
そしてこの広告の前でミルドレッドは取材にも応じ、広告の存在を更に広めます。
ウィルビー自身も困りミルドレッドの元に「やめてくれないか」と相談しすい臓ガンであることを告白。しかしミルドレッドは「そんなこと知っている、だからこそ死んでからでは意味がないのよ!」と反論。これに対しウィルビーは真剣に捜査を進めるようになります。
娘が殺されたミルドレッドに対して同情はしているが広告をやりすぎたせいでひとり孤立していく様、ミルドレッドが怒りに身を任せて行動していることが更に拍車をかけている様が物語の悲しみを加速させていきます。
歯医者に行った時、広告の件で起こっている歯科医が報復しようとするが察知したミルドレッドは逆に歯医者の指をドリルで攻撃。
そのことでウィルビーから尋問を受けるが話の途中でウィルビーは吐血してしまいます。
中盤
自分の死期を悟ったウィルビーは家族と最後の時間を過ごし、馬小屋で自殺します。
ウィルビーはミルドレッド、妻、ディクソンそれぞれに手紙を送ります。
ウィルビーにあてた手紙には「自分の自殺は広告とは関係ない。だが広告を使うのは名案だった。翌月分の広告費を俺が払う」等の言葉を残した。
一方ディクソンはウィルビーの死を聞くや否や、怒りで我を忘れて広告屋レッドを襲撃、ボコボコにして2階から突き落とし病院送りにします。
そして3つの広告が何者かによって燃やされます。ミルドレッドは必至に消化しますが間に合いません。
ディクソンは新しい署長に素行の悪さを指摘され警官をクビになる。後日警察署の仲間から「ウィルビーから手紙があるから警察署に取りに来い」と言われ、夜な夜な手紙を取りに行きます。
ディクソンはイヤホンで音楽を聞きながら警察署で手紙を読みます。ウィルビーは「ディクソンを素行は悪いが根は良い奴で警察の素質がある」と高く評価しています。そして「短気な性格を直せば必ず良い警察官になれるよ」と背中を押します。ここでディクソンは、これからはまじめに取り組もうと改心しますが事件が発生。
警察署が燃えます。ミルドレッドは広告が燃やされたのは警察だと決めつけ、怒りに身を任せて火炎瓶を警察署に投下。イヤホンで音楽を聞いていたディクソンは手紙を読み終えるまで気づかないが、燃え盛る中レイプ事件の資料を守りながら警察署を脱出。火傷を負いながらも資料と共に生還します。
ミルドレッドは怒りながらも人を殺すようなことはしたくなかった為、火炎瓶を投げる前に警察署に2度電話をかけて誰もいないことを確認しています。しかしディクソンはイヤホンをしている為気づきません。結果逃げ遅れ全身にやけどを負います。悲しみと怒りの連鎖を極限まで増幅させるようなこの一連のくだりが、ものすごく心に刺さります。
そしてその後、ディクソンは病院に入院しますが神のイタズラなのか自身でボコボコにした広告屋レッドと同じ病室です。
しかしディクソンは火傷で顔面包帯だらけの為、レッドは気づかず「オレンジジュース飲む?ストロー使った方が飲みやすいんだ」とディクソンに優しく接します。
この優しさのあまりにディクソンは涙を流しながら罪を償うような口ぶりで正体を明かします。
レッドは怒りながらもそのままオレンジジュースをコップに注ぎ、ディクソンに差し出します。
すでに手紙によってディクソンは怒りを収め改心していると思われますが、このレッドの行動によって街に充満した「怒り」の一つを確実に止めることになりました。ディクソンはあんなにもレッドに対してひどいことをしているのに許してくれた。涙は止まらず、ディクソンは完全に正義に目覚めます。この映画の素晴らしいシーンの一つですね。
終盤~ラスト
この後、退院したディクソンは酒場でたまたま怪しい人物を見かけます。
レイプ話を仲間としており、ディクソンは外に出て乗ってきたであろう車のナンバーを控え、そいつとわざと取っ組み合いになり顔をひっかき細胞を入手。
そしてミルドレッドに話に行き、「犯人かもしれない男を見つけた、希望は捨てないで欲しい」と話す。
ここでディクソンはミルドレッドと和解し、また一つ怒りを止めます。
しかし検査の結果、ミルドレッドの娘をレイプした犯人ではないことが判明。
この展開もこの映画の素晴らしいところの一つ。ここで犯人と判明して逮捕し解決ってオチが映画の定石ってもんですよね。
犯人が見つかり逮捕できればハッピーエンドかもしれませんが、見つからずまたもや絶望感に溢れます。しかしこの展開があるからこそこの後の展開が生きます。
ディクソンは違ったという話を電話でミルドレッドに報告。すまない・・と言うがミルドレッドは「久しぶりに希望が持てた」と発言します。ミルドレッドは今まで捕まらない犯人と警察の怠慢さに嫌気がさしていました。結果違ったけれど、事件を真剣に捜査してくれた、結果進展していないけど、希望を持つことができた。この気持ちこそミルドレッドが望んでいたことではないでしょうか。
死んだ人が生き返らないことはミルドレッドだって知っています。ただこのやりきれない気持ちが行き場所を失くしていたからこそ、怒りをバラまいてしまって、このような事態になったんですよね。
そしてディクソンは一つ提案します。
自分が見つけたレイプ犯は、ミルドレッドの娘の犯人ではないにしても、間違いなく悪い奴でこれからも犯罪を重ねるはず。自分は車のナンバーも知っていてそこから住所も特定している、と。
ミルドレッドが行くのなら自分がついていこうか?と話します。
そして2人は意を決してショットガンを持ち車を走らせ犯人の住むアイダホへ向かいます。
道中、ミルドレッドは警察署を放火したのは自分だと告白します。
しかしディクソンは「知っていた。そんなことするのはお前しかいない」と驚きませんでした。
そしてディクソンはミルドレッドに「決意はできているか?」と問いかけます。
ミルドレッドは「あんまり」と答えます。そっちは?と問い返すとディクソンも「あんまり」と答えます。
どうするか、道すがら決めればよいと話し、物語は終わります。
放火に対して知っていた上でミルドレッドに対して罪を問わなかったのは、ディクソン自身今までの自分の素行の悪さにも非があって、回りまわって自分に返ってきたんだな、って感じているのではないかと思います。そしてこの怒りもまた悲しみとして連鎖させないためにも、納得しているのではないでしょうか。
ラストの掛け合いから、すでにこんなことを繰り返すことに意味がないことを悟っているのが伺えますね。
2人とも劇中で様々なことが起きて、変わることができたんです。ディクソンもウィルビーの手紙とレッドの優しさで変わり、ミルドレッドも放火の件と、ディクソンの捜査によって一時的にでも希望が持てたこと、もぅ怒りを連鎖させてはいけないと感じたのではないでしょうか。
スリービルボードまとめと評価
とてつもなくシリアスなストーリーですよね。
ラストの2人の掛け合いは、最後まで犯人が特定できなかったからこそ意味を持ち、よりリアリティのある重い物語の終止符になっているんだと感じます。
正直、ディクソンが命掛けで見つけた人物が犯人じゃないと判明した時、「まじか・・・」と絶望的な気持ちになりました。
そしてオチへの不安がつのり始めたのですが、まさかこんな素晴らしい終わり方があるとは・・・本当に驚きです。
ラストの掛け合いこそこの映画の全てであり、怒りの連鎖が終わったことを告げているんですね。
本当に素晴らしい作品でした。このオチだからこそ、高く評価されているポイントな気がします。
何はともわれ、間違いなく2018年の映画ベスト3に入りますね。超オススメ作品です。
スリービルボードの配信は?
2019年6月現在、無料で配信している動画サービスはありません。
全て、登録した上でレンタルなど有料での配信でした。
自分はamazonプライムビデオで200円くらいでHD画質版をレンタルして視聴しました。たまたま安くなっていたのかな?
有料ですが、間違いなく観る価値のある映画です。是非観て欲しい。
主な配信先は
- U-NEXT
- dTV
- amazonプライム
ってところですね。
U-NEXT
U-NEXTは月額1990円(税抜)と少し高いです。
しかしこれはサービス内で使えるポイントが1200pt分付くためです。
1200円分のポイントってことですね。
例えば6月現在だとスリービルボードは324ポイント(円)で観ることが出来ます。
なので、登録させすれば月額料金の中で観ることが出来ますね!
ちなみに登録したことがないのであれば31日間無料トライアルがあります。
この期間、なんと600ポイントが無料で付きますので、実質無料で観ることが出来ます。
登録していない人はかなりお得ですのでU-NEXTがオススメです。
dTV
dTVは月額500円とかなり安い。その割に12万作品という驚異のコスパ。
ただスリービルボードは登録した上で有料配信になっています。
それでもかなり安いのでオススメ。
ちなみにここも無料期間が約1か月あるので、登録したことがない人はお得に見ることが出来ます。
詳しい情報は公式サイトにて確認してみてください。
amazonプライム
月額500円とこちらも安い。しかしdTV同様、スリービルボードを観るためには有料でのレンタル料金が別途必要になります。
ただ数百円なのでツタヤとかでレンタルするのと変わらないです。むしろ新作とか借りたらもっと高いはず。
安価に気軽に見やすいのは一番あると思うし、信頼できると思うので動画配信サービスになれていない人はプライムビデオで見るのが一番安心かもしれませんね。
では良い映画ライフをノシ
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